2012年1月25日水曜日

【書評】デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (藻谷 浩介)

本書は、これからの日本経済の構造的な問題として、生産年齢人口の減少、人口高齢化と富裕層=高齢層を原因とする内需の縮小と言う現実を捉えないと経済政策は成功しないと説くもの。すなわち、経済対策として挙げられがちな、生産性を上げる、経済成長率を上げる、公共工事を景気対策として増やす、マネーサプライを増やしてインフレ誘導をする、環境技術の開発でモノづくりのトップランナーであり続ける、などはその現実の前には実効性が欠けると訴えます。むしろ、以下の3つが必要。

① 高齢富裕層から若者への所得移転を - 企業は団塊世代の退職で浮く人件費を若者の給料に回す/消費に消極的な高齢者からお金を引き出す高齢者市場を開拓/生前贈与の促進(贈与税の軽減と相続税の増税。現在の相続では遺産を受け取る人も老人予備軍で消費は期待できない)

② 女性の就労と経営参画を - 専業主婦の4割が働くだけで団塊世代の退職は補える/女性の就労率が高い県ほど出生率も高い

③ 外国人観光客・短期定住客の受入を - 付加価値率が高い観光収入/公的支出の費用対効果が高いビジットジャパンなどの観光政策の強化

感想ですが、この人口動態という構造的な問題に対応するべきという指摘はそのとおりだと思いますが、団塊世代の引退に伴う雇用数の帳尻合わせをするだけでなく、魅力な雇用市場を維持発展するためには、成長産業への投資も必要になりますから、両方とも同時にやっていくということなんでしょう。生活保護者が戦後と同じ200万人という水準になっている現実も考えないといけません。

また、企業は若者の給与を上げるべき、としていますが、どのように実現するかも考えていかないといけません。個々の企業が賃金を上げて若者の消費を増やし、内需を拡大させるという戦略は、一企業の視点からは「ただ乗り」(フリーライダー。他の企業の賃金上げによる内需拡大の果実を労せずに獲得する)することが魅力的となります。このためには経済界での申し合わせなど足並みを揃える必要がありますが、その声を上げるインセンティブもないでしょう。行政の介入が必要なのかもしれません。

それにしても本書は講演をまとめたからでしょうか、言い回しが乱暴、説明がクドイ・不親切(自分の意見と異なる人達をマクロ経済学信望者などと言っていますがそのマクロ経済学のセオリーなどの説明がないので、詳しくない人にとっては何のこっちゃ状態)な箇所が散見されます。内容は真面目なだけに格を落とすようで勿体ない気がします。

2012年1月23日月曜日

プレパパ料理教室 Cooking session for Prep-Papa



1月23日に渋谷区主催の育児を控えたパパのための料理教室、プレパパ教室に行ってきました。

脂物や甘い物を食べると母乳が出にくくなるので、極力油を使わない料理や、葉酸が母乳にいい事から緑黄色野菜をふんだんに使った料理の作り方を習ってきました。↓こんなに沢山ですが、スイーツを入れても800キロカロリーです。

I participated in the cooking session for Prep-Papa yesterday which aims to give cooking tips to an upcoming father to look after new born baby and mum - the following dishes I made deserve only 800kilo calories;p

2012年1月21日土曜日

【落語】立川談志「芝浜」

見ると泣けます…


【ストーリー】
酒好きな魚屋が女房に促されて久々に働こうと河岸に行き、大金の入った財布を拾う。次の日、目覚めたら財布は消え、女房は「それは夢だ」と言う。魚屋は夢だと諦め、仕事に精を出す。三年目の大晦日。妻が「夢ではなかった」と財布を出し、騙していたと告白する。

2012年1月19日木曜日

Happy New Born News 祝・第一子誕生

去る1月14日(土)、第一子となる女児が誕生しました。

名前は沙羅(Sarah)と名付けました。

健康的で元気一杯、そして可愛らしい女の子です。

I am extremely happy to tell you that our baby has was just born on January 14, 2012!!!

Her name will be Sarah (沙羅) and she is really active, healthy and so lovely ;p

2012年1月8日日曜日

Dynamics of Indirect Democracy 間接民主制の力学



<< English text will follows >>

日本の政治制度は、選挙により民意の代表者を選出し、自らの権力の行使をその代表者に信託することで、間接的に政治に参加しその意思を反映させる「間接民主制」(議会制民主主義)を採用しています。

日本の国政では、与党が政府の政策案を事前に審査する仕組みを採っており、行政分野毎に与党議員による委員会などを組織して政策案を議論・決定します。例えば、税制においては税制調査会があり、税制調査会長をはじめとする役員が集中的に内容を精査し、判断を下します。

このため、与党議員の中でも特定分野ごとに更に決定権限を付与することにより、国政の意思決定がなされており、言い換えれば、その分野における一握りの国会議員が国家全体に関わる政策決定に圧倒的な影響を及ぼすことが可能です。

さらに、衆議院と参議院の支配政党が異なる所謂「ねじれ状況」のおいては、野党の意思に左右される余地が大きくなり、同様に、野党内の特定議員が特定分野で影響力を持つことになります。

そして、特定分野の政策案について、これら与野党協議の結果によって採択が決まることから、提案者の政府としては、如何にその議論を前向きなものにできるかが決定的に重要となります。

ところで、与野党の政策責任者の一つの有力な判断基準は、次の選挙に有利に働くかどうか、にあります。すなわち、ある政策案に賛成することで、次の選挙で有権者から支持を得られるのか否か、を見極めることが大変重要な要素です。

日本の現在の選挙制度は、衆議院においては、1994年から一つの選挙区から一人の候補者が選出される「小選挙区制」と党の得票率に応じて選出議員が割り振られる「比例代表制」の並立制ですが、小選挙区制は一人から候補者が選出されない結果、死票が多くなるとされており、より大衆から支持を得なければならない結果大衆迎合的になると言われています(ちなみに、1994年までは、一つの選挙区から3人~5人を選出する「中選挙区制」が採用されていました)。

この結果、特に消費課税の増税を訴えた政権は、その後必ず政権の座を去ることになりました。それが今日までの日本の財政赤字を拡大させたのだとすれば、日本国民は痛みの先送りを止める決断をするか、または選挙制度を、幅広い民意を取り入れて、長期的な政策を打ち出せるものに変えていく必要があるかもしれません。

Japanese political system adopts "indirect democracy"(parliamentary democracy), in which representatives for public opinion are elected and the public can be involved indirectly in thus the public will is reflected to politics by means that the use of public power is entrusted to those representatives.

In Japan's national politics, an administration party is supposed to review government-sponsored policy proposals preliminarily. To be exact, ruling party legislators are designated as a specific committee member by policy field and involved in review and judgement for a certain policy proposal before it is submitted to the Japanese Diet. For instance, there is a taxation committee for tax reform and its chair and other executive members make a discussion intensively and lead to necessary conclusion.

This means that some ruling members are endowed the entire power of decision making in a certain national policy field - in other words, a handful of MPs can have irresistible influences on policy-making at national level in a certain policy field.

Furthermore, under the state that the ruling and opposition parties maintain a large majority in the Lower and Upper House respectively, so-called "the twisted Diet", there is large room for the opposition party's intervention in national decision making so specific members have the power in a certain policy field likewise.

Therefore, whether a policy proposal is accepted is just up to the results of mutual consultation between both the ruling and opposition parties, it is decisively crucial for the government as a policy proponent to make its deliberation positive and move forward.

By the way, one of the dominant criteria for policymakers from the ruling and opposition parties is whether the next election will work better or not. That is to say, the really essential factor is to examine if the approval of some policy proposal would result in raising the popularity of constituency in the next national election or not.

The current Japanese election system is combined single-seat constituency system with proportional representation system from 1994. A single-seat constituency system can be said to generate plenty of "wasted votes". For this reason, each candidate has to get more supports from the public to be elected thus more likely to become a populist. (Before 1994, multi-seat constituency system was adopted instead of sinble-seat one)。

As a result, the successive Japan's administrations that called for tax raise particularly increase in consumption tax rate have stepped down without fail. If we can say this is the reason why national budget deficit has been deteriorated for the last decades, the Japanese public should be aware of the current crisis fiscal situation and make a decision for halting the painful postpone. Otherwise, the current election system may has to be improved to the other one which can reflect wider public opinion and enables the administration to carry out a painful policy from long-term standpoint.

2012年1月7日土曜日

【書評】新・堕落論―我欲と天罰 (石原 慎太郎)

本書は、震災後、石原現東京都知事が東日本大震災を日本国民への「天罰」と称したように、現代の堕落した日本を憂う内容となっています。すなわち、

・以下は、日本人という民族の本質的な堕落としか言えないものである。
-あてがわれた「平和の毒」に冒され、あてがい扶持の憲法による徒な権利の主張と国防を含めた責任の放棄、そして教育の歪みが、国民の自我(物欲、金銭欲、性欲)を野放図に育て、人間相互の絆を壊した。
-恥を嫌い、清廉を好み、自己犠牲による献身という日本人の美徳は消滅した。
-アメリカに現在まで間接統治された日本は、アメリカの「妾」であり、日本は日本自身の重要な決定を自らの判断で決めてこなかった。これは、国家の堕落であり、国家官僚と政治家の責任である。(その結果、横田基地は今に至るまで広い排他的飛行区域と共に戦勝記念品として存在しており、日本の先端技術も収奪されている)

・「核の傘」というのは幻であり、自衛のための核を保有する意思を持つべきである。さもなければ尖閣のような領土問題で日本は軍事的圧力に屈しざるを得ない。
・ゆとり教育は間違いで、「父母に孝に」「兄弟に友に夫婦相和し」「朋友相信じ」「一旦緩急あれば義勇公に奉じ」といった基本道徳も含めた生きるための規範を「刷り込み教育」で覚えこませるべき。
・高福祉低負担は幻想であり、現在の国家財政を見れば、増税だと何でも拒否する甘えた国民体質を正し、それにへつらう政治を変革し、消費税増税などの税制改革を断行すべき。
・日本の経済再生施策として、多大に買い込んだアメリカ国債を担保に基金を作り、5%以上の利回りがあり得るプロジェクトに投資すべき(例:天然資源豊富なシベリアの開発)・
・若者の無気力、弱劣化を克服すべく、高校卒業と同時に1年間軍役などの公的な義務に就かせるべき。

・インターネット等の膨大な情報の氾濫に溺れることで、画一的な発想、行動しか出来ず、自分が納得する人生を歩むことが出来にくくなっている。本気の恋愛をすることも少なくなった(根源的情念なき恋愛)。ただただ欲望を増加させ、ヴァーチャル的な暴力や死に感覚を麻痺させる。

⇒このような堕落からの脱却のためには、まずは行えばすぐにやってのけること(核保有に関する可能性を誇示するためのシミュレーション、若者を正すための労役の義務化、財政再建のための税制抜本改革など)で国民を啓発し、いたずらな我欲の抑制に繋げる。それが、震災復興と超克のための基本的な地盤作りに必要である。

【感想】:その意見に賛同するかどうかは別として、命を賭してもやりたいこと、やるべきことが中々見つからない今日において、世界、日本、そして日本人というものがどのような立ち位置に置かれているのか、その認識の下で何をどうすべきなのか、考え、公で大いに議論したらよいと思います。NHKの「坂の上の雲」や映画「山本五十六」を年始に見ましたが、そこで描かれているのは、戦争に一喜一憂する国民の姿でした。マスコミが戦争を煽る姿も別にありましたが、大事なことは国家の出来事、存亡に一人ひとりが思いを馳せるという姿勢であろうと思いました。