本書は、国民が政権を選択する「政権交代」の時代において、円滑かつ安定的な日本政治の条件等を戦後の55年体制の歴史から検証するもの。起承転結のストーリーが明確でないため要点を掴みにくく、セオリー化のためか若干大括りに過ぎるのと、中立的視点からは構造改革(特に竹中)に傾いているきらいが感じられました。
【自民党長期政権時代】
<佐藤栄作>
・複数官房長官制(官房長官・副長官に加え、宮澤経企庁長官:経済政策・外交)
・内閣官僚の組織化(厚生省から官房副長官&首席内閣参事官:環境庁設置の環境行政)
<小泉純一郎>
・官邸主導(官房型官僚>原局型官僚、竹中経済財政大臣)
・官僚制内ネットワークの駆使
①内務行政型・・・旧内務省系を中心とした府省(含む環境省)と自治体のネットワーク
②財務省主導型・・・予算編成と支出を通じて各省をコントロール
③経済産業政策型・・・内閣の附属・特務機関(戦前:岸・商工省➔企画院、戦後:行政改革会議事務局、経済財政諮問会議)を中心とした、革新官僚と民間のネットワーク
➔戦後の自民党政権時は、①(官房副長官)&②(首相秘書官)
➔改革期(30年代の戦時体制、90年代の行政改革期)には③が力を発揮する
【政権システム】
(1)一党優先下での政権の進化・・・①当選回数に応じて党・政府の役職を割り当て、②派閥に所属、③総裁選出により首相交代
➔個々の議員の成長、派閥・首相の新陳代謝により、時代に適応
(2)政権交代下での政権の進化・・・①転落した前与党の政策練り直し、党組織刷新、②政権移行期間、移行チームなどの諸制度、③野党時代の「影の内閣」OJTを通じた閣僚としての即戦力化
➔政権交代を見据えて絶えず各党が自らを刷新
◯ 政権交代を進化させるための4つの提言
①野党時代に実行可能な政策を構想
②野党と官僚の接触ルールを整備
③マニフェストの中から、実行できる政策を取捨選択
④省庁再編は慎重に
0 件のコメント:
コメントを投稿