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2019年6月22日土曜日

雑草図鑑 Weed Picture Book

雑草図鑑によると、シロツメクサ(白詰草)は鎖国時代、オランダから長崎出島にガラス細工を運ぶ際の緩衝材として箱に敷き詰められたことから、「詰草」と呼ばれるようになったのだそう。今は紙やプラで代替されていますが、思いがけない歴史を発見しました♬
According to Picture Book of Weed, white clover named Shirotsumekusa in Japanese and literally means white 'packing weed'. This is because it was laid in the box as buffer materials when carrying glass products from the Netherlands to Nagasaki Dejima during the Edo era of Japan. Now its functions have been compeletely replaced by paper and/or plastics.  The pics book unexpectedly told me this kind of history :-)

2019年5月7日火曜日

【要約】人望が集まる人の考え方(レス・ギブリン)

人望が集まる人の考え方(レス・ギブリン)

  • すべての人は1)自分本位、2)自分に最も強い関心、3)自分が重要だと感じたがっている、4)他人に認められたい
↓

  •  相手の自尊心を満たせば、おのずと好意的な態度をとってくれる。
  •  相手に重要感を持たせるために:①すべての人を重要な存在とみなす。相手の意見や考え方に敬意を払う、②相手に注目する。一人ひとりが人間として大切にされていると感じる職場環境で、仕事にある程度の裁量を与えると、人はよりよい仕事をする。③相手に対して威張らない。相手に感銘を受けたことを伝える。相手の間違いを指摘するのは必ずしも得策ではない。
  • あなたの態度と行動が相手に反映する:相手に敵意を持つと、相手もあなたに敵意を持つ。熱意・自信を持って振る舞えば、相手の熱意を掻き立て、あなたを信頼する。意見を言うときは堂々と。背筋をしゃんと伸ばす。姿勢をしっかりと正す。自信にあふれた歩き方を。
  • 入り方が全てを決める:真剣に受け止めてほしいなら、真剣な調子で始めよう=相手はあなたが設定した舞台で自分の役回りを演じる。第一印象を変えるのは至難のわざ。
  • あなたの自己評価どおりに受け入れられる=自分が素晴らしい人物のように振る舞えば、世間はあなたを素晴らしい人物として扱う。その際、尊大で高圧的な態度はとらない。
  • 他人をけなす人は悪い印象を与える。「裁かれたくなければ、裁いてはいけない」。不平を言う者を雇いたがる人はいない。あなたはネガティブな舞台を設定し、ネガティブな雰囲気を作っている。
  • 相手にイエスと言わせるコツ:①ポジティブな雰囲気を作り、②イエスと言いたくなるような質問の仕方をする。③質問しながら肯定的にうなずく。ってもらえる問いかけをする
  • 人を惹き付ける条件:①相手をあるがままに受け入れて好きになる②相手を認める。全ての人が褒めてほしいと強く思っている。目立たない長所を褒めると尚良い③相手を尊重する=待たせない、感謝する、特別扱いする。一対一で話しかける
  • 相手とすぐ打ち解けるためには:相手が自分のことを好いていると信じる。自分から率先して友好的な態度をとろう。心の底から微笑む。あなたに会えてとても嬉しいと言おう。
  • 効果的な話し方で成功するためには:会話は他愛もない話でウォーミングアップしてテンションを上げよう。相手に自分のことを話させよう。私も同じです、とうなづき、相手に賛同し、もっと話をしてほしいと言う。自分のことを話すのは相手から求められた時だけ。自分の不満をぶちまけるのは避ける。相手をからかうのはもってのほか。
  • 相手の自尊心を傷つけずに議論に勝つ6つのルール:①相手の意見を最後まで述べてもらう。さらに、要点をもう一度言ってください、と付け加える。②質問に答える前に相手を見ながら少し間を置く。③100%勝とうとしない。相手に正しい点があれば積極的に認める。ささいなことで譲歩すれば、相手が重要なことで譲歩してくれる可能性が高まる。④控えめな態度で主張する。私が間違っているかもしれないが、と切り出す。⑤第三者に代弁してもらう。説得に客観性をもたせる。⑥相手のメンツをつぶさない。相手に逃げ道を用意しておく。
  • 相手の全面協力を得るためには:相手にアイデア・アドバイスを求めよう。その人をチームの一員にし、「もしあなたが私の立場ならば、成果を上げるためにはどんなふうにしますか?」と尋ねよう。
  • 人間関係で奇跡を起こすため:毎日、心をこめて相手をほめることで、相手の心身にエネルギーを与える。ほめる時は、1)誠実な気持ちで。ささいなことを本気でほめる方がよい。2)相手の行為や性質をほめる。
  • ありがとうと言うときのルール:1)心を込めて、2)はっきりと、3)名前を呼んで、4)相手の顔を見て、ありがとうと言おう。5)相手に感謝することが習慣になるまで努力をする、6)相手が思いも寄らないときに感謝する。
  • 相手を怒らせずに注意を与えるためには:目的は相手を向上させること。1)一対一で注意を与える。2)褒め言葉で前置きをする。3)相手の行為に注意を与える。4)正しい方法を教える、5)要求ではなく依頼の方が協力を得やすい。6)注意は一回に留める。7)友好的に話を終える。「君を心から信頼し、大いに期待している」「これでコツは掴めたはずだから、次は頑張ってほしい」


【要約】The obesity Code トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ (ジェイソン・ファン)

The obesity Code トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ (ジェイソン・ファン) 

●  カロリー制限は幻想。カロリーゼロで落ちる体重はゼロ。食事量は関係ない。
●  運動神話。走っても走っても痩せない。運動して燃やせる脂肪は5%が限界。肥満の原因の95%は食事。
●  太るのはインスリン(貯蔵を促すホルモン)の分泌によって体内の体重設定値が高くなっているから。リバウンドとは設定体重に戻ろうとすること。よって少食も長期的には意味がない。
●  イライラするたびにストレスホルモンが肥満物質を増やす。ストレス太りは存在する。
●  太りにくい睡眠時間は、7時間。
●  何回食べるかは何を食べるかの倍問題。食べる回数をとにかく減らす。
●  朝食は体にとって不要。朝しっかり食べる人ほど太りやすい。
●  乳製品はいくらでも摂ってよい。

○   インスリン値を下げるために
①   添加糖(砂糖、人工甘味料)の摂取を減らす。デザートは果物、ダークチョコレート。間食をやめる。朝食は食べなくてもよい、摂るならヨーグルト。飲料は水、炭酸水。赤ワイングラス2杯、コーヒー6杯迄ならOK。お茶、特に緑茶が有用。
②   白い小麦粉などの精製された穀物の摂取を減らす。パン、パスタ、麺などは最小限に。炭水化物は天然、丸ごと、未加工の状態で摂るべき=豆類(枝豆など)、野菜(なす、ほうれん草、トマト、アスパラ、きゅうりなど)
③   たんぱく質の摂取をへらす。総摂取カロリーの20~30%に抑える。
④   良い脂肪(天然の脂質)をもっと食べる=ヴァージンオリーブ油、ナッツ、乳製品、アボカドなど。動物性脂肪も過度に避ける必要なし。
⑤   食物繊維をもっと食べる=果物、野菜、豆類、ナッツ、こんにゃく、酢など

○   食べるタイミング=インスリン抵抗性を断ち切るため、インスリン値が低くなる時間を繰り返すつくるため、定期的な断食(間欠的ファスティング)が有益。断食を始めて24~36時間後に脂肪を燃やし始める。
■ 一日おきの断食を2ヶ月続けると体脂肪率が2ケタ下がる
■一日の食事を1回にすると、一日3回に比べて体脂肪の減り方が大きい。
■ 断食により、体中に活力がみなぎる。代謝がよくなり、体が元気になり、血糖値が下がる。

2017年10月22日日曜日

【書評】善と悪の経済学(トーマス・セドラチェク著。2015年)

 久しぶりの書評です。表面的なテクニックに留まらず「あるべき」という倫理を追求することは、改めて仕事に当てはめる必要があると感じさせられました。

 本書は、経済思想は本来、哲学、宗教などと密接に関連し、常に「倫理的な規範」「善と悪」の価値判断と不可分であるが、現代の主流派経済学は分析的アプローチと数学モデルによってこうした倫理と決別したように=「価値中立的」に見える。しかし、実は「効率性、完全競争、高成長」「快楽追求・効率至上主義的」に価値を置いているとし、リーマン・ショックの問題も契機に、物質的反映がもたらす幸福を躍起になって追い求める「経済成長」よりも巨額の債務に依存しない安定性がより重要であるとしている。

  • 経済学の魂はあるのか。ある。市場経済が望みどおりに機能することが本当の問題。そもそも私たちは市場や見えざる手にどのように働いて欲しいのか。
  • 値段を付けられる価値は一部にすぎないのに、どうして価値計算ができるのだろうか。
  • むしろ値段の付く価値を値段の付けられない価値に対比させて、ときに破壊的な影響を及ぼす。→問題の解決方法:
    • ①値段の付かないもの(ソフト)の価値に値段をつける(e.g. きれいな空気の「値段」はCO2排出権と同等に考える)、
    • ②値段の付くもの(ハード)に市場を認めない(e.g.美しい景観(ソフト)の中に広告塔(ハード)を設置することを一切禁止する)、
    • ③ハードな数字のほうをソフトにし、広告の値段を”ファジー”にする。
  • 法律をつくるのは法律家と詩人だ、という歌がある。思うにいまの経済学者は、数学者あるいは法律家に偏りすぎて、哲学者あるいは詩人の部分が乏しすぎる。
  • 経済学は、
    • 数学的理解よりももっと幅の広い魅力的な物語である
    • 規範的な要素を多く含んでいる
    • 他の学問(哲学、神学、人類学、歴史学、文化史、心理学、社会学)と深い結び付きがある
    • モデルに示された数式や分析よりも多くのものが詰まっており、数学は外から見えるごく一部に過ぎない;多くの問題は曖昧で神秘的で、決定論的モデル構築になじまない
    • 数字が語ることを無視すべきでないが、モデル化できないことを無視してもいけない
    • メタ経済学(経済学には説明のつかない要素が実にたくさんあり、経済思想の多くは宗教的・感情的な要素を伴っていることをもっと認識すること)が今以上に必要。

2016年8月30日火曜日

【書評】地政学で読む世界覇権2030(ピーター・ゼイハン著。2016年)

本書は、地政学の考えに照らし、“2030年までに、いったんは米国中心主義が薄れる。しかしその後、ロシア、欧州、中国は次々に自滅し、米国は世界で圧倒的な超大国になる”との分析を行っている。その中で日本は、衰退する一方でアメリカを除く他国と比べれば幾許か望みがあると述べられており、世界の中での日本を頭の体操として考える上で、一つの示唆を与える可能性がある。具体的には、以下のとおり。
  •   既に高齢化が進行しているとはいえ、ベビーブーム世代が最も多額の税金を支払うようになっており、資本蓄積という面ではまだ良い。
  •   国の借金が唯一ほぼ完全に国内にとどまっている。
  •  世界で最も先進的な産業基盤と最も高い技術を持つ労働力を持つ。
  •   世界で二番目に強力な海軍がある。エネルギーと貿易の安全(シーレーン)確保を図る意味で非常に大きな意味を持つ。
  •   98%以上が日本民族であり単一の文化アイデンティティを持つ。これは政策実行面や忍耐の体力を備えているという面で重要。生活水準が下がることに耐えられることを既に示した。
  •   移民の流入もなく、単純労働は高齢者によって担われつつあり、年金財政の圧力緩和に寄与する。
  •   天然資源はほとんど無く、国内市場も取るに足らないので、海軍によりアジアから資源・市場をなどを奪っていったという膨張政策の歴史を有する。
  •   日本人は他の多くの国民以上に、重要な決断を次々に下す必要に迫られるだろう。しかし、暗い見通しばかりではない。…確かに国内に残る産業は海外から輸入された原材料に完全に依存しているが、これも当初考えるほど大きな問題にはならないだろう。輸出産業の大半が海外移転した結果、国内に残る企業が国内総生産に占める割合はわずか15%とかなり低くなっている。そして日本のゴミの分別回収システムは世界で最も効率的なものの一つであり、一般家庭ごみ及び産業廃棄物の半分以上がリサイクルされているので、原材料の需要はさらに抑制されている→国際市場―原材料でさえ―へのアクセスを以前と同レベルに保つ必要は、実はないのだ。今後10年間で生産量は半減するだろうが、それまでに日本は海外の新たな供給元を見つけるか、あるいは自国の消費量を減らす時間的余裕があるだろう。


  ➔ 日本んの将来は非常に憂えるが、他のほぼすべての国を憂える程ではない。
「地政学で読む世界覇権2030」の画像検索結果

2015年1月24日土曜日

【書評】無一文の億万長者(コナー・オクレリー著、2009年)

DFS創始者の半生を綴ったもので、稼ぎ出した全財産を在命中に慈善事業に寄附することに費やした人生の後半が特に面白い。ビジネスと同様、真に価値ある事業を自ら世界中を飛んで探して選んでいるが、必ず事業を進める「人」に直に会って最終判断している。金持ちであるかに関わらず、人生の成功や目的が何なのか、考えるきっかけを与えてくれる。

2015年1月7日水曜日

【書評】生物と無生物のあいだ (福岡伸一、2007年)

生物学者の著者が「生命とは何か?」の問に対して向き合うもので、その答えを「生命とは動的平衡(Dynamic Equilibrium)にある流れ」と結論付けています。

すなわち、エントロピーの増大による「死」を回避するため、体内で劣化する細胞を、日々更新・再構築し、生命活動を維持することが「生の営み」であると。また、ロマン溢れるエッセイ調の文章は流麗で綺麗な日本語が使われているのも特筆すべきです。

➔生物だけでなく社会や経済の持続可能性や定常状態(維持)を考える際にも、この”新陳代謝”が大事になると感じました。
(資源投入[栄養摂取]と廃棄プロセス[老廃物の排出]が適正に確保されることもまた必要でしょうが)。

2014年12月18日木曜日

【書評】フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密(パメラ・ドラッカーマン著、2014年)


ニューヨークからパリに移り住んだアメリカ人が目の当たりにしたフランス子育て術をセックスアンドシティ風のコラム口調で若干まどろっこしくも紹介している。

内容は、
・親として子どもを成長に導く「教育」をすべく、威厳を持って、食事の時間や内容、寝るルールなどを管理し、他人を敬うことを教え、甘やかしたりしない一方で、
・子どもと同じ目線に立って声を荒げる事なく道理・理由をしっかり話をし、枠を守らせることを前提に時に子どもの裁量を許容する、

といったもので、親として参考になる面もありそう。

2014年11月29日土曜日

【書評】経済学は人びとを幸福にできるか(宇沢弘文、2013年)


著者 : 宇沢弘文
東洋経済新報社
発売日 : 2013-10-25
世界の宇沢の講演録、文章などを本人がまとめたもの。若干の重複が見られるが、欧米時代を経た往年の業績、ローマ法皇や昭和天皇など名だたる人々との親交が垣間見れるほか、制度経済学・公共経済学の流れを組んだ環境・医療・教育などの「社会的共通資本」が国の発展の礎であることや、そのための国際炭素税などの仕組み、センター試験の弊害、官僚への失望、英NHSから見習うこと、など人となりや考えなどが概括的に分かる。特に炭素税については、直接話を伺って見たかったので、大変残念。

2014年10月29日水曜日

【書評】地球温暖化と経済発展―持続可能な成長を考える (Economic Affairs)

編者 : 宇沢弘文・細田裕子
東京大学出版会
発売日 : 2009-03
故・宇沢教授らがCOP15に向けて編纂した経済学から地球温暖化問題への警鐘。

京都議定書の枠組みや排出量取引などの仕組みは公正ではないとして、各国1人当たりの国民所得に応じた比例的炭素税の導入とその税収の国内森林保護対策への補助と途上国の持続可能な開発支援のための大気安定化国際基金への拠出を内容とする提言を行っている。

租税原則や気候変動枠組条約に謳う「共通だが差異ある責任」と整合的な面もある一方で、目標達成に向けた政策効果・効率性の検証や、相対的に税負担の少ない途上国への産業移転(カーボンリーケージ)を誘発する影響をいかに排除するかなど、政策的に考える余地や実現可能性を考慮する必要があろうと思いました。

2014年9月19日金曜日

【書評】[新訳]南洲翁遺訓(松浦 光修 2008年)

本書は、幕末に寛大な処置がとられた庄内藩がまとめた、西郷隆盛の43の言葉をテーマ毎に並び替え、現代訳したもの。国を憂う想いや考えは、現代にもそのまま通じるものがあり、日々の仕事や生活でも考えさせられるところが多々あります。
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【政治の教え】
  • 人材の登用-役職は人の能力に応じて。過去の功績に対してはお金で報いる
  • 組織は、進むべき大きな方向が定まり、指揮命令系統がしっかりしていることが大切
  • 政治で大切なことは、「文化」「安全」「経済」の3つでその優先順位は時によって異なる。
  • 君子の器ではないコセコセしている小人には、その人物にふさわしい小さい仕事を任せて、才能や技術を発揮してもらう
  • 税金を軽くして人々を豊かにすることが、国力を養うことに直結する
  • 会計や出納の心構え:収入の分しか支出しない
  • 軍の士気を高め、選りすぐりの精鋭を集めておけば、過剰な軍備は不要
  • 君主も家臣も「まだまだ働きが足りない」と考えなければ、人の意見に耳を傾けられず、忠告してくれる人も周りからいなくなってしまう
【時代の教え】
  • 政治に携わる者は、常に慎みの心を持ち、品行正しく、倹約を心がけ、仕事に一生懸命に取り組む、周囲の手本にならないと納税者は納得して従わないし、義のために散った戦没者に申し訳が立たない
  • 我が国らしい所をしっかりと固め、国民の道徳心を高めた上で、外国の良いところを静かに取り入れること。手当たり次第に欧米の文物を輸入することは、国力を消耗し、人々の心も軽薄になる
  • 西洋は後進国に酷くて残忍なことをし、私利私欲を満たしてきたという意味で「野蛮」だが、悪い人間を良い人間に更生させることに気を遣った刑罰制度は「文明」
  • 忠孝(社会的、家庭的な規範を守る心)・仁愛は人類共通の不変の価値
  • 節操、道義、恥を知る心、美しい心を国民が失ったら、国は持たない
  • 正しい道を進み、まっすぐ貫き、その結果、"戦"となっても国ごと斃れてもよいという覚悟で望まなければ、外交も政府の仕事も成就しない
  • 人の世の動きはいつも変わらないから、『春秋左氏伝』や『孫子』とった古典から国際情勢の動きと対処方針を学べる
【事業の教え】
  • どんなに大きなことも小さなことも、正しい道を選んで進み、至誠を以て事に当たるべきで、汚い策略など一つもめぐらせてはいけない。戦争以外の日常生活で、策略を使ってはいけない
  • どんな制度や方法を確立しようと、そこに"人物"がいてこそ初めて活きる
  • 命もいらず、名誉もいらず、役職も肩書きもいらず、お金もいらない、そんな始末に困る人でなければ苦難を共にし、国の命運にかかわる大きな仕事はできない
  • 普段から「正しく生きる」(正義のためなら死をも厭わぬ)という覚悟を固めておかないと、突発事態が起きた際に臨機応変に対応できず、即座に打開するような妙案が出てくるはずがない。君子のような人であっても、普段からの備えが肝心。ふだんの何事もない時に、心を静かにする時間を作って、色々なことを想定して、心の準備をしっかりしておかなくてはいけない
  • 人と交渉するときは、私心にとらわれることなく、公正な心をもって、ひたすら真心で当たっていくのみ
  • 私なんか、と思うことなく、聖人や賢人の知識を自分の問題に当てはめ、対処方針まで考えることが大事
  • 世間からは「運がいい」としか思えない人も、見えない才能や努力や勇気が背後にあって、成功している人が多いもの
  • 天下は、誠がなければ動かないし、才能がなければ治まらない
【人生の教え】
  • 自分の志を貫いて、結果として我が身が砕けてもそれを誇りに思い、逆に自分の志を曲げて、その結果我が身が長持ちしたらそれを恥に思う
  • 「天を敬い、人を愛する」境地に達するためには、"己に克つ"(自分にとらわれない:わがままな、無理強いする、頑なな、独り善がりの心がない)意識を持つこと。自分の心のありようを、根本から己に克つ状態に変えておけば、一つ一つの出来事に、過敏に反応することもなくなる
  • 学問は、小さな分野で小さくまとまろうとせず、広く学ぶことを目指すと同時に、弱い自分に負けない己に克つ、この二つを両立させ、人物を高めることが一番大切。どんな人でも受け容れられる大きな人物になり、人に受け容れてもらうような小さな人物になってはいけない
  • 天は自分も他人も同じように愛して下さるものであり、自分を愛するのと同じように、他人を愛すること
  • 人を気にせず、天を気にして生きていくこと。今、自分に出来る限りのことをしていけば、それでよい。うまくいかない時があっても、決して誰かを何かを責めたりしてはいけない。そういう時こそ、自分の誠がまだ足りなかったのではないか、と自分の心を顧みなければいけない
  • 一番善くないこと:自分に執着する(己を愛する)ことだけは、決してしないこと
  • 何か失敗した時は、その失敗を自覚すれば十分で、後はキッパリ忘れて、過去を振り返らず、すぐに新たな一歩を踏み出すこと。失敗したことをいつまでもクヨクヨと思い返すことは、全く意味のないこと
  • "正しく生きる"ことは庶民であろうと関係なく実践でき、また、実践しなければならない。例えどんなに苦しく辛い場面に直面しても動揺せず、そんな時こそますます"正しく生きる"ことによって乗り越え、そういう苦難を楽しむぐらいでないといけない
  • 正しく生きる覚悟があれば、世の中の人すべてが自分をけなそうとも落ち込まず、すべての人が自分を褒めても舞い上がってはいけない
  • 正しく生きるならば、本人に聞かれたら困るようなことを、影でコソコソと言わないこと
  • 世の中で、後世の人からまでも、信じて仰がれ、喜ばれて慕われるものとは、本物の誠の心だけ
  • 君子の心の中は、いつも湯上がりのように爽やか極まりないのだろう

2014年9月5日金曜日

【Film】her 世界でひとつの彼女

チャイルドシートも用意されているシネプレックス小倉で、映画「her」を観てきました。ウィンドウズのようなOSに恋をするという秀逸な設定で、OS役のスカーレット・ヨハンソンの声がハスキー、でも温かみがあり、はまり役です。こんな万能OSがあったら仕事も楽だろうなぁと思う反面、PC依存する人間ばっかりになるだろうと感じました。英語もハッキリ喋るので教材としても良いですが、いかんせんお色気シーンが随所にあります♪
Just have watched the film "her" at Cineplex Kokura which has a child seat. The excellent setup of this film is "a man falls in love with OS (Operating System) like Windows and the voice of OS by Scarlet Johansson was perfect - husky but warm. I felt my work gonna be far more easy-going with this genius OS while people are more likely to get addicted to PC. This is also good material for learning English as pronounced clearly but the thing is there are many sexy scenes ;-)



2014年7月10日木曜日

【書評】孫正義 「リスク」を「成功」に変える28のルール(三木 雄信著 2014年)

本書は、ソフトバンクの孫正義が持つという成功のためのルールを、間近に見てきた筆者が紹介するという触れ込みですが、実際の決断なりがケーススタディで示されている訳でもなく、中立的な検証・批評がなされているわけでもなく、内容は礼賛的で、一般化された表層的な心得なので、特に説得力があるとも言えないものでした。

<ポイント>
  • 運をよくしてチャンスをつかむ為には、相手から声がかかるように種まきをする。
  • 10年、1年、1月、1週、1日とブレークダウンした目標を持つ
  • 小さな成功の積み重ねが自信になる
  • 依頼を受けたら即座にやると決め、チャレンジすることをまわりに宣言、細かく自信が持てる単位に細分化し、その単位ごとに時間をかけてじっくり準備する
  • ピンチの時こそ、既存事業や新規事業の中で成功している要素を見つけ、それを可能な限り急速に拡大させる
  • 日頃会っていない友人から新しい発想やアイデアをもらう
  • 幅広い知識や視野を持つため、必要なことは、専門家から学ぶ
  • ロールモデルを見つけて、やり方を徹底的に研究・実践する
  • 成果が出ない場合、一度撤退し、別のアプローチで再度調整する
  • 必ず成功するビジネスモデルがあれば、お金は集まってくる
  • どのように事業を維持・発展できるかを常に考える
  • 今日できる仕事と明日以降の仕事を分け、前者だけをすべてやり尽くす
  • リーダーシップの基本は、目標を決めて役割を振って、責任を取ること
  • 失敗する可能性が高いプロジェクトこそ、進んで参加する
  • 企画力は、面白いキーワードを気楽に組み合わせることから養う
  • 定例会議を進捗管理のペースメーカーとして活用する
  • 難しい資料は一泊二日で、一日目に全体を荒削りで、二日目に細部を仕上げる
  • 押し付けられた仕事こそ何かを学ぶつもりで全力を注ぐ
  • 仕事は個人ではなく、プロジェクトとして引き受け、その観点から何ができないかを知り、必要があらば外部から人を連れてきて解決する
  • 会議は情報と決定事項に分け、取りまとめた内容(合意・決定事項、議事録、次回日程含む)を成果物として可視化する
  • やりたいことには積極的に口を出し、言葉にしたことは必ずやり遂げる
  • 反対意見は考えるきっかけとしてしっかり聞き、説得できるまで企画を煮詰める
  • 自分の意図は変えずに、周りの人と合意できる案を探す

2014年7月2日水曜日

【書評】肚が据わった公務員になる!-新しい仕事哲学と自分の鍛え方(中野雅至著 2014年)

本書は、国家公務員、地方公務員の働く指標を示すという触れ込みですが、むしろ多分にステレオタイプ化した各公務員のお悩みなるものを指摘し、その生きがい・目標を「べき論」で語るという、週刊誌的な内容です。
(そういった役割が期待されてのことかもしれませんが、元官僚という触込みの本にありがちな、斜に構えた根拠の薄い決めつけ的な批評本で、その意味でこの本自体がある種の典型(ステレオタイプ)を表しているのかもしれません)。
基本的に深みはありませんが、気晴らし程度に読んでみると、人によってはもしかしたら共感できる面、または参考になる面もある"かも"しれない、といったところでしょうか。

<内容>

○キャリア官僚の誇りはどうすれば保たれるのか?
・・・政治との関係が劣位で、ブラック企業並みの労働悪条件だが、有望な文系最強職業→最低10年位は経験を積んでから辞めるべき
⇒自己啓発のポイントは、①資格を取る、②専門知識を権威付けする(本を書くor博士号を取る)、③幅広い人脈を築いておく & 出向中・海外赴任中に、よくリフレッシュ

○ノンキャリア国家公務員の本当の悲哀
・・・出世する途も閉ざされている割に徒弟制度や予算庶務で苦労が多い。優秀な人材を出世させる仕組みを設けるべき

○日本で最も中途半端なエリート-都道府県職員-
・・・高学歴の割に給料も昇進も中途半端。内部での昇進基準が不明確で不安なので、明らかにすべき

○高学歴者が殺到する市町村職員の将来性は?
・・・やる気のない職員と町おこしに奔走する職員の両極端。地域の専門家として、首長になる覚悟で仕事すべき

2014年6月28日土曜日

【書評】人口減少時代の自治体経営改革―日本のあしたのつくり方 (大庫 直樹著 2013年)

本書は、財政状況悪化が見込まれる自治体の経営を見直すための処方を金融コンサルタントの筆者が提示するもの。大阪で実践中の部分的、または提言的内容で、実際の検証を待つべきところも多そうですが、一つのアイデアとして参考になり得そうです。

<ポイント>

・人口減少で歳入が急速に縮小する一方、歳出は固定費(老朽施設、道路、橋梁、下水道などの維持・整備費)もあるので減少しにくい結果、財政が非常に苦しくなる
・地元企業の成長と地元経済の振興のため、新興市場へ上場を目指す企業の支援や地元企業を市・県外に進出することを後押しし、税収増に繋げることも重要

・資産規模で見た自治体は大企業に匹敵(東京都:34兆円 vs トヨタ:30兆円。北九州市:3.9兆円 vs 九州電力:4.1兆円)
→ただし、資産(行政財産):道路、港湾、庁舎など売却・換金できないものが大半
&貸借対照表(バランスシート)上の純資産:その資産-負債(地方債残高)
⇒資金調達マネジメント:資産を与信として、借入金をどう上手に組み合わせて工面するか

・自治体が支払う金利水準は決して低いわけではない→必ずしも長期固定金利(例:30年物)が一番安全ではない
⇒償還期間や調達時期などよりよいポートフォリオ(組み合わせ)を探すことが重要
・金利は自助努力で下がる部分もある→財務上の不安を払拭するようなIR(投資家向け情報提供)が有効

・公営企業債(200兆円規模。大半が政府系資金)への民間資金活用が住民負担軽減、公営企業経営の効率化、国の債務圧縮につながる

・地方独自の中小企業等への制度保証は、自治体が無利子の預託金を金融機関に預けることで成り立っているが、これを地方債残高引下げや新規事業予算に活用できないか点検すべき

2014年6月26日木曜日

【書評】君たちはどう生きるか(吉野 源三郎著 1937年)

本書は、日中戦争時に書かれた少年少女向けの倫理の本。中学生のコペル君が友達との学校生活や叔父とのやり取りを通じて物事の考え方を学んでいくスタイルで、今読んでも全く色褪せない内容です。娘が小学校高学年になったら、ぜひ読ませたいおススメの一冊です。

<ポイント> 
  • 自分を世の中の一分子と感じることは、天動説(自分達が世界の中心)から地道説(自分を離れて正しく判断)に変わるぐらいの大きなもの。大人になっても忘れずに。
  • 「立派な人」と「立派そうに見える人」の違いは、心の底からそうありたいと願い、誰がなんと言ってもという心の張りを持って、正しいことを正しいと自分で判断できるようになること。心から感じたことやしみじみと心を動かされたことは、いつまでに大切に。
  • 本当の発見とは、人類がはじめて知る偉大な発見。このためには、今の学問の頂上に上って、その頂上で仕事をすることが大切。
  • 貧乏だからと言って引け目を感じることはない。その自尊心を傷つけることは絶対してはならない。貧乏でないことの「ありがたさ」。その労働なしに文明もなければ進歩もないこと。
  • 英雄とか偉人といわれている人々の中でほんとうに尊敬できるのは人類の進歩に役立った人だけ。彼らの非凡な事業のうち、真に値打ちのあるものは、ただ人類の歴史の流れに沿って行われた事業だけ。
  • 英雄的な気迫を欠いた善良さも、人類の進歩と結びつかない英雄的精神同様に空しいもの。
  • 自分のあやまちを認めることはつらい。しかし、あやまちをつらく感じることの中に、人間の立派さもあり、あやまちから立ち直ることもできる。
  • 学問や芸術に国境はない。遠い異国の文物でも、優れたものには心から感心して、それを取り入れ、文明を高めていくことができる。

2014年6月19日木曜日

【書評】 日本企業は何で食っていくのか(伊丹敬之著 2013年)

本書は、2008年からの日本は、終戦、オイルショックに次ぐ「第三の敗戦」とも言うべき厳しい状況にあり、日本企業にとっての今後の成長分野を示すものであり、そのキーワードは以下の6つ。詳細な分析というよりも俯瞰的な提言/コラムと理解すべきで、一つの考えとして参考になります。

①電力生産性 
 (電力危機を踏まえれば、電力1kWh当たりの付加価値が高い産業が生き残る)

②ピザ型グローバリゼーション
 (国内空洞化ではなく、企画開発など中枢部門が国内に残る海外展開)

③複雑性産業
 (複雑な製品や複雑な工程、複雑なサービスの展開:そのための技術基盤、ノウハウ、オペレーションを持っている分野)

④インフラ産業
 (電力、鉄道、水道などの海外展開。ハードだけでなく、社会インフラシステム全体の設計・施工とシステム運用を一体として展開)

⑤中国
 (世界最大の市場。さらに中国での開発基地という分業は、優秀な中国の人材確保というプラスの面も)

⑥化学
 (産業科学は物理から化学へ。不要物を価値のあるものに変える、あるいは最低限として有害であるものを中和する化学は、環境、エネルギー、健康分野にとって重要)

2014年6月13日金曜日

【書評】公害を考える ~より科学的により人間的に~ (橋本 道夫著 1970年)

本書は、「ミスター公害」と呼ばれた筆者(厚生省初代公害課長)が、政府で公害対策が実質的に行われるようになってから10年+2~3年というタイミングで書かれた、公害黎明期の書。公害の歴史やその時点までに取られた対策など当時の状況がよく分かり、現在の公害・環境問題、環境政策につながるものとして大変参考になります。

<内容>

【公害の歴史】

○昭和30年以降 「もはや戦後ではない」(経済自立5ヵ年計画)
  • 江戸川乱闘事件(パルプ工場と漁民)→①水質保全法(産業間協和・公衆衛生の向上)、②工場排水規制法、③下水道法の制定(昭和33年。経済企画庁主管※関係省庁が多すぎるため)
  • 水俣病などの原因究明(厚生省→経済企画庁)→(科学的証明ができないまま)会社と被害者の和解(漁業調整委員会の場で)

 ○昭和35年 「所得倍増計画」
  • 重化学コンビナートを中核とする地域開発→首都圏の既成市街地に工場設置を制限する法律、工場立地調査法、工場地域特別整備法(公害の事項を含む)
  • 四日市公害→コンビナート反対運動(西宮市)と開発計画取りやめ→ばい煙等規制法(厚生・通産共管。京浜、阪神、北九州を対象に)

 ○昭和37年 
  • 隅田川への水質保全法の初適用(産業間協和条件のため施行後4年経過)
  • 厚生年金法改正による積立原資を元にした公害対策資金計画(厚生省)+公害防止事業団(通産・厚生共管)
  • 厚生省に公害審議会設置&国会両院に産業公害対策特別委員会設置

○昭和41年 
  • 自動車排気ガスの一酸化炭素規制&基地騒音対策(基地周辺整備法)実施
○昭和42年
  • 公害対策基本法(国民の健康保護が絶対的要請で、快適で清浄な生活環境保全については経済の健全な発展との調和を考慮。厚生省が主務官庁
  • 総理を議長とする公害対策会議、生活環境審議会(厚生省)、中央公害対策審議会(総理府=厚生省環境衛生局が庶務))
  • 海水油濁防止法(条約履行)、航空機騒音防止法制定
  • 旧ばい煙等規制法の廃止→大気汚染防止法の制定

○昭和43年
  • 公害病認定(イタイイタイ病、水俣病)→健康被害救済特別措置法公害紛争処理法、公害防止事業費用負担法案

○昭和44年
  • 企業、国、自治体が使った金は、約2000億~3000億円程度
     (国民総生産62兆6150億円の0.5~0.3%、全体の投資的経費の1.1~1.8%)。

 【公害問題の将来】 「公害対策から人間環境対策へ」
 (今後は、健康と人間環境をめぐる快適、便宜、安全、自然が求められる時代に)
  • 公害防止計画の着実な実施(企業の費用負担、国・自治体の財政措置)
  • 排出規制に加え、国土・土地利用、工場立地規制→公害防止、予防施策を徹底
  • 立法分野では、公害罪、企業費用負担法
  • 国際的には、国際環境問題と自由競争原理と国際的な規制基準の制度化への対応
  • 環境科学技術開発
    (無公害自動車、窒素酸化物対策、水の三次処理、廃棄物処理技術+未知の公害要素に対する危険性の予知と対応) 

2014年6月4日水曜日

【書評】辛酸―田中正造と足尾鉱毒事件(城山三郎著、1979年)

本書は、足尾銅山鉱毒事件発生後、鉱毒被害地である谷中村を渡良瀬川の遊水池にして川の底に沈めてしまうという国の計画が強行された際、この日本最初の公害問題に激しく抵抗した田中正造や鉱毒被害民の泥まみれの生きざまを描く経済小説。

家屋を強制破壊、田んぼを水浸しにさせられるなどしても、鉱毒被害民の一部は村を離れず、正造とともに土地収用による強制買収を不服とする裁判を争うも、やがて正造は斃れ、村人は弱り、ついに切り崩されていく様子が描かれており、初期の公害問題への対応や影響を考える上で参考になります。


なお、平成5年版環境白書(総説-第3章-第1節-2)において、この足尾銅山事件に関して、以下のとおり記述がありましたので、ご参考まで。
戦前における我が国の環境対策
 日本においても、明治維新を迎え、政府の殖産興業の積極的な政策もあり、近代的な製造技術が導入されていった。これに伴い、明治10年代には、工場周辺のばい煙、悪臭被害が発生しはじめた。また、山間部の鉱山や精錬所の周辺でも排水や排ガスによる被害が生じた。この時期において大きな被害を生じた事例としては、鉱山や精錬による被害、足尾銅山、別子銅山のような問題があった。
・・・足尾銅山の事例についてみると、鉱山の排水、鉱滓により下流の魚介類や農作物に被害が生じるようになり、被害者と原因者の間に被害補償や対策に関する示談が結ばれたり、政府により対策の命令が出されたが、なお対策が不十分で根本的な解決がなされず、被害地住民の強制的な移転という結末を迎えた。
 このように、初期の公害問題に対しては、・・・法制度の枠組みを作るという対応ではなく個別の問題としての対応がなされた。また、その対応も、実際の被害の発生があり、被害者の強い訴えがあって初めてなされるという面があり、後追い型の対応にとどまっていた。このため、公害による被害を受けた者は、泣き寝入りに甘んじるか、直接、汚染者と交渉するか、政府に指導、あっせん等を要請するか、あるいは損害賠償について訴訟に訴えるという手段しかとることができなかったのである。

2014年5月26日月曜日

【書評】世界経済を破綻させる23の嘘(ハジュン・チャン著)

本書は、ケンブリッジ大学の経済学者である著者が、自由市場主義経済の通説に疑問を呈し、より良い経済システムのあり方を提示するもの。その具体化の方法や妥当性の検証は別として、よく言われる主張に対して立ち止まって考えるきっかけを与えてくれる意味でオススメの一冊。

<ポイント>
  • 自由市場なんて存在しない
    • 市場の境界は客観的な科学で決まるのではなく、政治的に決まる
    • 市場における生産者、生産方法、販売方法についての規制は、むしろ強まっている(汚染・CO2排出量の制限など)
    • 規制を廃止すべきという主張=「金のある者にその領域でより大きな力を与えるべき」「その規制法によって守られる権利を認めない」
  • 規制は、人間の知的能力の限界から、活動の複雑さを制限し、より良い決定を下せるために必要なもの
    • 政府は市場参加者よりも市場をよく知る必要はない
  • 企業の自由を制限するのが経済にも企業にも良い場合がある
    • 企業活動を利する規制(希少資源の保護や生産性を長期的に高める職業訓練の義務付け)がある→重要なのは規制の量ではなく、その目的な内容
  • 政府は企業・産業を勝利に導ける
    • 日本では「審議会」を通じてビジネスリーダーと情報交換
  • 今なお計画経済の世界に生きている
    • 政府による研究開発、インフラ整備への投資、指示的計画(投資、整備、輸出などの目標を設定し、民間セクターと協力して達成しようとする計画)、部門別の産業政策、国営企業の計画的運営など
  • 大きな政府こそ経済を活性化できる
    • うまく設計された社会保障制度→労働者に第二のチャンスを与える→人々に変化に対して前向きに→速いスピードの経済発展を可能にする
  • 経済を成功させるのに優秀なエコノミストなど必要ない
    • 日本の経済官僚は法学部出身
    • 経済を失敗させてきた自由主義経済学ではなく、”ほか”の経済学(「市場の失敗」や「厚生経済学」。ピグー、アマルティア・セン、スティグリッツらによって発展)が必要
  • 脱工業化時代は幻想でしかない
    • 製造部門の生産性が急激に上がったためサービス部門の雇用割合が増えており、生産システムの製造業部門の重要性は落ちていない
    • サービスでは輸出収入が減少→国際収支問題に直面し生活水準の低下&先進技術を買う力の減少→経済成長のスピードが落ちる
  • インフレを極端に抑え込もうとしてきた結果、むしろ投資を減少させて成長を減速させてきた
    • インフレは低レベルから中レベル程度までは危険はものではない
  • 金融市場の効率はむしろ悪くしないといけない
    • 金融デリバティブなどの効率のよい金融イノベーションは、金融資産の流動性を高いものに→所有者はあまりにも速く変化に反応→企業の長期的発展に必要な「辛抱強い資本」を確保するのが困難に→金融取引税のような効率を意図的に悪くする規制が必要
  • 株主の利益を最優先する企業は発展しない
    • 株主は最も身軽な利害関係者→特に小株主は、短期的利益による配当を最大にする戦略を好む→長期的投資、再投資に回せる利益剰余金を減らすことで、会社の長期的な成長力を弱める
  • 国際的な賃金格差が生じる最大の理由は、生産性の違いではなく、移民抑制政策のため。
  • ここ30年間アフリカが停滞している真の原因=強制的に導入させられた自由市場政策
  • 企業の国籍=なお研究開発・戦略決定などの最重要活動をどこで行うか決める鍵
    • 買収にあっては国籍に加えて、買い手企業の特定事業の実績&買収する会社への長期的なコミットメントの強さ等を考慮すべき
  • トリクルダウン理論は成立しない(富は貧者にまでしたたり落ちない)