【評価:】(興味関心があれば読むことをおススメ)
ここで紹介する3冊はいずれも、ファイナンシャルマネジメントをMBAで扱うレベルで紹介・解説するもので、
①「図解入門ビジネス 最新コーポレートファイナンスの理論と仕組みがよーくわかる本」(岸本 義之、 松田 千恵子)は入門編&日本のビジネス事情やM&A等も紹介されています
ここで紹介する3冊はいずれも、ファイナンシャルマネジメントをMBAで扱うレベルで紹介・解説するもので、
①「図解入門ビジネス 最新コーポレートファイナンスの理論と仕組みがよーくわかる本」(岸本 義之、 松田 千恵子)は入門編&日本のビジネス事情やM&A等も紹介されています
③「ファイナンシャル・マネジメント ― 企業財務の理論と実践」(ロバート・C・ヒギンス)は米国大学院のMBAコース等でも使われてそうで、特に米国企業を例にした豊富な実践方法を紹介しているのが特徴です。
【企業価値を上げる3つの方法】
① 利益:追加の資本投下を行わず利益を増やす ⇒売上げを上げる、費用を下げる
② 投下資本:追加の投下資本コストに見合う利益を生み出す事業に資本投下する(又はこの利益を確保できない事業から撤退) ⇒投資の実行判断と撤退判断を的確に行う
◯投資決定の判断:NPV(純現在価値=-支出額+収入額の現在価値)>0
◯DCF(Discount Cash Flow)法=将来の収入や支出を全て現在価値に割り引いて価値を求める
※ 割引率:近いリスクを持つ金融商品の収益率を用いる
※ 現在価値の3類型・・・①永続型:C[キャッシュフロー]/r[割引率]/②永続成長型:C/(r-g[期待成長率])/③年金型C*(1/r – [1/r(1+r)t[期間])
※ インフレの場合:名目割引率-インフレ率
※ 債権価値:DCFで金利[r]を割引率に用いる。金利↓⇒債権価値↑
※ 株価:Po[今年の株価]=Div1[来年の配当]/(r[割引率]-g[期待成長率])
◯内部収益率(IRR: Internal Rate of Return)・・・NPV=0となる時の割引率で、複数期間にわたる収益率を求める方法。
※ 自社の資本コストを基にしたハードルレートとプロジェクトのIRRを比較して、意思決定を行う(例:直近3年のFIT固定価格の設定根拠…税引前IRR5~6%)。
※ IRRとNPVは異なる結果を出す場合もあるので、NPVで判断する方が間違いない
③ 資本コスト:資本コスト(資本市場が要求するリスクに応じたリターン)の引き下げを実現する ⇒負債・資本構成比率を変える
◯資本コスト=加重平均資本コスト(WACC)・・・株主資本コストと負債資本コストを加重 平均して求る(自己資本と他人資本の調達コストを加重平均)⇒企業が達成すべき投資利回りの基準になる数値
WACC=[rE×E/(D+E)]+[rD×(1-T)×D/(D+E)]
rE=株主資本コスト(*CAPMで計算)
rD=負債コスト(金利)
D =有利子負債の額(時価)
E =株主資本の額(時価)
T =実行税率
rE=株主資本コスト(*CAPMで計算)
rD=負債コスト(金利)
D =有利子負債の額(時価)
E =株主資本の額(時価)
T =実行税率
*CAPM(Capital Asset Pricing Model 資本資産価格モデル)
株主資本コスト[rE]=リスクフリーレート+β[ベータ]×リスクプレミアム
※リスクフリーレート=10年国債の利回りが一般的
※リスクプレミアム=市場全体の投資利回り-リスクフリーレート(又は過去の収益率)
※β=個別株式の変動/株式市場全体の変動
※リスクフリーレート=10年国債の利回りが一般的
※リスクプレミアム=市場全体の投資利回り-リスクフリーレート(又は過去の収益率)
※β=個別株式の変動/株式市場全体の変動
※ WACCを下げること=財務レバレッジを利かせる⇒株主向け施策としてROE(Return on Equity)を高める
※ 最適な負債比率:負債のもたらす節税効果-経営難のコスト(負債の信用リスクなど)の最大値
【様々な投資決定手法の比較】
手法
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投資決定基準
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メリット
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デメリット
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①正味現在価値
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NPV>0で投資
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どんなケースでも正しい答えが出る
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直観的に分かりにくい
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②内部収益率
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IRR>必要収益率(資本コスト)で投資
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直観的で分かりやすい
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複数のプロジェクトから選択する場合誤る可能性
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③収益性指標(PI)
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PI(プロジェクトの現在価値/初期投資額)>1ならば投資
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投資資本額の制約がある場合でも適用可能
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複数のプロジェクトから選択する場合誤る可能性
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④会計上の収益率
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投下資本利益率(会計上の利益/投資額(簿価))が目標数字よりも高ければ投資
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会計数字をそのまま使える
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目標数字の設定が恣意的
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⑤回収期間
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投資金額を何年で回収できるか計算し、目標数字よりも小さければ投資
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計算が簡単
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目標数字の設定が恣意的
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⑥割引回収期間
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⑤にキャッシュフローの現在価値(割引率を適用)を用いる
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目標数字の設定が恣意的
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【企業価値の評価方法】
①キャッシュフロー割引モデル・・・企業が生み出すキャッシュフローの期待値を加重平均資本コスト(WACC)で割り引いた現在価値
⇒ 企業価値=予測期間中のキャッシュフローの現在価値+継続価値の現在価値
※ 予測期間(5~10年程度)のCF=現在価値事業からのCF-投資のCF
=税引前営業利益+減価償却費-設備投資額-運転資金需要
※ WACC(%)=(負債総額/負債総額+株式時価総額)×負債コスト+(株式時価総額/負債総額+株式時価総額)×株式資本コスト
*負債コスト(%)=負債利子率(%)×(1-法人税率)
*株式資本コスト(%)=無リスク金利(国債利回り(%))+ベータ×(株式市場の期待収益率(%)-無リスク金利)
※ 継続価値=予測期間の翌年のCF/WACC-CFの永久成長率(※少なくとも経済成長率並み)
②EVA(経済付加価値)・・・企業の価値創造の評価基準として経済的利益を計測するもの
⇒ EVA=税引後営業利益-資本費用
=税引後営業利益-投下資本×加重平均資本コスト
※ 税引後営業利益=営業利益×(1-法人税率)
※ 投下資本=正味運転資本(流動資産-流動負債+短期借入金)+固定資産
※ 投下資本利益率(税引後営業利益/投下資本)>加重平均コストの場合、企業は価値を創造したと言える。
※ 得られる計算結果は、キャッシュフロー割引モデルもEVAも同様。
③MVA(市場付加価値)…企業全体の投資活動の正味現在価値。その変化を見ることで企業が事業活動(資本投下)によって企業価値をどれだけ高めたかを見ることが可能。
⇒ MVA=企業の期待キャッシュフローの現在価値-投下資本
※ MVA=将来のEVA期待値を資本コストで割った値=将来のEVA期待値の現在価値
【財務業績の評価ツール】
ROE(Return on Equity株主資本利益率)=当期純利益/株主資本
=①売上高当期純利益率(当期純利益/売上高)×②総資産回転率(売上高/資産合計)×③財務レバレッジ(資産合計/株主資本)・・・ROEを改善する3つのレバー
<①:収益性指標>
(ア) ROE(Return on Equity株主資本利益率)=当期純利益/株主資本
(イ) 売上高当期純利益率=当期純利益/売上高 ⇒総資産回転率との2つを合わせた効果が問題
(ウ) ROA(総資産利益率)= ①売上高当期純利益率(当期純利益/売上高)×②総資産回転率(売上高/資産合計)
(エ) ROIC(Return on Invested Capital投下資本利益率)…企業の基本的な収益力(資金調達戦略を加味する前の)を表す(ROEやROAのタイミングやリスクへの課題があることを踏まえ)
① =税引前利益×(1-税率)/有利子負債+株主資本
(オ) 株価益回り=当期純利益/株主資本の市場価値=EPS(Earning per Share一株当たり利益)/株価
(カ) PER(Price-to-Earning Ratio株価収益率)=株価/EPS
<②:効率性指標>
(ア) 総資産回転率=売上高/資産合計 ⇒ 数々の効率性指標で検証
(イ) 在庫回転率(平均的な在庫の年間平均回転率)=売上原価/期末棚卸資産(在庫)
(ウ) 売上債権回転期間(企業の売掛金管理の状態。売上げの支払い期日との比較が可能)=売掛金/1日当たり信用売上高
(エ) 手元流動性比率(何日分の売上高に相当する流動資産を有しているか)=現預金及び有価証券/1日当たり売上高
(オ) 仕入債務回転期間(負債の効率性指標)=買掛金/1日当たり信用仕入高
(カ) 固定資産回転率(企業の資本集約度)=売上高/純有形固定資産
<③:レバレッジ及び流動性指標>
(ア) 財務レバレッジ=資産合計/株主資本 ⇒借入れ能力を測る
(イ) 負債対資産比率=負債合計/資産合計
(ウ) 負債比率=負債合計/株主資本
(エ) カバレッジレシオ(負債による年間の負担)
① 利息払いにまわせる利益の比率
1. インタレスト・カバレッジ・レシオ=税引前利益/支払利息
2. 支払い利息・元本カバレッジ=税引前利益/支払利息+(支払元本/1-税率)
② 負債と市場価値との比率
1. 株主資本比率=負債/株主資本の市場価値(発行済株式数×株価)
2. 資産の市場価値との比率=負債/資産の市場価値(負債+株主資本の市場価値)
(オ) 負債対資産比率=負債合計/資産合計
(カ) 負債比率=負債合計/株主資本
(キ) 流動性指標
① 流動比率=流動資産/流動負債
② 当座比率=流動資産-棚卸資産/流動負債
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