2011年12月31日土曜日
2011年12月17日土曜日
【書評】節電社会のつくり方 スマートパワーが日本を救う!(加藤 敏春)
○ 日本のエネルギー源の64%は捨てられている。これは山奥につくった発電所からの長い距離による送電ロスと発電プロセスでの電力変換効率が半分以下で後は熱として逃げているため。これは他国でも同様で米国で62%、イギリスで63%、フランス72%、そして中国は78%といずれも高い数字。
○ 分散型エネルギーとはこのような一極集中型発電のロスを減らすために、地域地域で創エネをすることでエネルギーの有効利用と自立が図られるというもの。再生可能エネルギーは消耗する化石燃料との対比で人類の目から見れば無限に生み出せるエネルギーのこと。
今後の節電社会は、再エネ、スマートメーター、国・地域・コミュニティの三層構造となったスマートグリッド、蓄電池、コジェネを活用したスマートプロジェクトにより実現されると提唱しています。そのコンセプトを紙に落とすと以下のようになるとか↓
また、リアルタイムで電力需給を把握・調整できる仕組みを活用すれば、リアルタイムの料金設定などで節電を促すことができ、ライバル会社間での競争により料金費用負担の削減も期待できる。そのためにも、アメリカ競争社会のように配電・発電の自由化を認めるべきとの考えも述べています↓
行政に求められるのはこのような自由化の制度に変えることなどの制度作りや、インフラ導入のための導入補助や安心して参入してもらうための債務保証などの支援が必要と考えているようです。
(イギリスではスマートメーターの設置が義務付けされたことや、EUではコジェネ導入目標を定めているという情報も載っていました。)
この分野について、現在は「スマート」という言葉が先行している状況で、実際何をするとどれ位の効果があるのか、それを推進するならばどのような体制でやっていくのか、などについて未だ検証段階の気がしますので、進んでいると言われる欧米の状況も含め、分かりやすい説明と理解が重要で、その上で国・地域・コミュニティがどのように主導して進めていくのか、それぞれの整合性も考えていくことになるのでしょう。
【書評】100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図(George Friedman)
○ 対テロ戦争の泥沼化、金融危機に端を発する景気後退、新興国の追い上げにもかかわらず、21世紀を通じてアメリカの世界覇権の優位性は揺るがない。
○ その根拠として、大西洋・太平洋いずれの大洋にも面した北米大陸に身を置く事、強力な海軍力を背景とした世界の7つの海を制していることを挙げている。
○ 21世紀前半には地理的・人口的・政治的な制約から、ロシア・中国・インドといった大国の力が衰える。
○ 加えて人口爆発の終焉とロボットテクノロジーの進展、宇宙分野におけるイノベーション(宇宙衛星からの地上監視と攻撃、宇宙太陽光発電)からアメリカの一極支配体制が益々強固なものとなる。
○ このアメリカに対抗しうる力をもつ地域覇権国は、日本・トルコ・ポーランドである。
○ その中で日本は政治の不安定さを官僚体制により補い発展を続けるが、人口減少に伴う労働力の確保、経済成長の閉塞状態の打破、そしてエネルギー資源の確保を目指し、経済活動・軍事活動を活発化させ、結果として弱体化した中国・ロシアの沿岸地域に覇権を築き上げる。
○ ユーラシアの覇者を目指す立場になった日本・トルコの連合国により、アメリカへの軍事的な挑戦(極超音速機とミサイルによるピンポイント爆撃)が2050年代に起きるが、アメリカ産業界のイノベーションと不屈の増産体制により連合国側が敗戦し、日本は大陸の利権を失い撤退することになる。
○ これによりアメリカの宇宙空間の支配は決定的なものとなり、当分の間繁栄を謳歌する。
○ 21世紀最後のアメリカへの挑戦者は2080年代のメキシコになるかもしれない。ただし、アメリカの優位性は揺るがないだろう。
日本が自衛をやめて軍事活動を活発化させるのは容易に想像ができませんが、大恐慌後に長く経済不振に喘ぎ、エネルギー輸入が制限される中で資源を求めるために中国に進出した日中戦争や真珠湾攻撃を皮切りにした太平洋戦争の歴史を振り返れば、今度絶対にないとは言い切れない気もします。そのためには、国内で安定的な経済成長や持続可能な財政・社会保障、そして環境社会を構築し、将来に希望が持てるようにしないといけないのでしょうね。
また、著者は地球温暖化はアメリカが開発し実用化するであろう宇宙太陽光発電により解決を見るとしていますが、果たしてそれでどこまで地球上の電気エネルギー需要を満たすことができるのかは慎重な検討が必要だとも思いました。
2011年12月14日水曜日
【書評】財務省が隠す650兆円の国民資産 (高橋 洋一)
2011年12月11日日曜日
平成24年度環境省税制改正要望の結果
2011年12月9日金曜日
日本は排出量抑制のため炭素税を導入するだろう
原子炉の停止に伴い、日本は排出量抑制のため炭素税を導入するだろう
By Chisaki Watanabe - Dec 8, 2011 5:10 PM GMT+0900
原子炉が福島の災害後閉鎖されたままであれば、発電のための化石燃料の使用増加の中で、温室効果ガス排出量抑制のため炭素税を導入すると日本政府は発表した。
同省がファックス送信したスピーチのテキストによると、早ければ4月には原油と石油製品に対する税金の追加を開始したいと細野環境大臣は昨日、南アフリカのダーバンでの国連主導の気候変動交渉で語った。
政府は明日発表される、2012年3月期までに実施される税制改革計画を準備中である。当局において炭素税を盛り込むことを議論していると省の環境政策担当者である井上雄祐氏は今日、電話で語った。
政府は石炭、ガス状炭化水素、原油と石油製品に対する税金を追加することを提案し、さらに収益が再生可能エネルギーや省エネプロジェクトのために使用されることを井上氏は付け加えた。課税の率についてコメントするのは時期尚早であると井上氏は述べる。
日本は世界第3位の石油輸入国であり、液化天然ガスの最大の輸入国である。3月11日の地震と津波による被災地の復興につながる法案に優先度を与えたとして、今年炭素税を開始する計画が遅れていたと井上氏は語る。
災害は東京電力(9501)福島第一局の3つの原子炉のメルトダウンを引き起こした。原子炉の85%が損傷または修理と安全チェックのため停止された。原子力発電は地震が起こる前、日本のエネルギーの約30%を提供していた。
原子炉の状況を考えると、京都議定書のもと2012年までに排出量を6%削除する「目標達成が非常に困難になっているせいで」と、細野大臣は述べる「しかし、我々は並々ならぬ努力を行っており、それが不可能ではないと考えます」。
190カ国以上からの交渉者が、京都議定書に記載される制限の期限が切れる来年以降の排出量抑制のためのステップを議論すべく、ダーバンに集結した。
Dec. 8 (Bloomberg) -- Japan may introduce a carbon tax to curb greenhouse gas emissions amid the increased use of fossil fuels to generate power as nuclear reactors were shut following the devastating Fukushima accident, the government said.
Japan wants to start adding taxes on crude oil and petroleum products as early as April, Environment Minister Goshi Hosono said yesterday at the United Nations-led climate talks in Durban, South Africa, according to the text of his speech faxed by the ministry.
The government is preparing a tax-reform plan for the year ending March 2012, to be announced tomorrow. Officials are debating the inclusion of the carbon tax, Yusuke Inoue, a ministry official in charge of environmental policy, said by telephone today.
The government proposes to add taxes on coal, gaseous hydrocarbons, crude oil and petroleum products, Inoue said, adding that the proceeds will be used for renewable energy and energy-saving projects. It’s too early to comment on the rate of taxation, Inoue said.
Japan is the world’s third-biggest oil importer and the biggest importer of liquefied natural gas. A plan to start a carbon tax this year was delayed as lawmakers gave priority to legislation linked to the reconstruction of the areas hit by the March 11 earthquake and tsunami, Inoue said.
The disaster caused the meltdown of three reactors at Tokyo Electric Power Co.’s Fukushima Dai-Ichi station, after which 85 percent of the country’s reactors are either damaged or idled for repairs and safety checks. Nuclear power provided about 30 percent of Japan’s energy before the catastrophe.
“It’s become very tough for Japan to achieve the goal” of trimming emissions by 6 percent by 2012 under the Kyoto Protocol, given the status of the country’s nuclear reactors, Hosono said. “But we have been making extraordinary efforts and we believe it is not impossible,” the minister said.
Negotiators from more than 190 countries have gathered in Durban to discuss steps to curb emissions after limits outlined in the Kyoto Protocol expire next year.