2011年12月14日水曜日

【書評】財務省が隠す650兆円の国民資産 (高橋 洋一)

この書は、元財務省職員で小泉・安倍内閣で改革に従事し、霞ヶ関埋蔵金を指摘した著者による増税不要論ですが、前回書評を書いた古賀茂明氏と同様、暴露本の感が否めず、日本経済の処方箋を総合的に提案しているようには到底見えない、「ウケ狙い」の批評本と言う評価が妥当です。

まず、両書に共通するのが、既得権益保持と天下り先を確保に躍起になる官僚の批判を行政経験に基づき述べている点ですが、それぞれ主題から脱線しており、このために印象操作のために書かれている印象が拭えません。結果、本と著者の格を下げている気がします。

政府の内情を知り、政策革新の知恵をお持ちなら、批評家としてこのようなジャーナリズム本を出すだけではなく、正々堂々と政策をぶって、地方・国政の場で議論をぶつけていただいた方が世のため人のためです。そうしないと、どの政策に一長一短があるといった論議から離れた、脱官僚主導といった中味を伴わない抽象的かつ形式的な批判に終わってしまいます。世の中をよくするために今何が必要なのか、それがどれくらい効果的なのか、冷静に示してどの政策を支持するか決めるプロセスが不可欠で、党が次期マニフェストに掲げる政策案を練って提案するとか、色々できそうなことはある気がします。
(例えば、イギリスでは各党が次期総選挙に向けて、3~4年かけて次の政党マニフェストを作り込んでいくそうです。その過程で外部から提案を受け付けたり、有識者から意見を聴いたりするとか)

その意味でも、本書で提言された、650兆円の政府資産を活用すると何がどうよくなるのか、デフレをやめてインフレ政策にするとどうして問題が解決するのか、など著者が言う7つの処方箋(以下参照)を実行するだけで、どうして「日本は必ず甦る」、とまで言えるのか、クドクドした批判や内実暴露をするよりも、もっとページを割いて定量的かつコンパクトにこの点の説明をして欲しかったです。

【7つの処方箋】
① 600兆円を超える政府資産を「国民資産」に・・・特会整理、独法・特殊会社の廃止等、郵政・政策銀行改革
② 大胆な金融緩和・・・インフレ数値目標、マネーサプライの増大
③ 基幹税の時限減税・・・景気回復を先に
④ 税制改革の推進・・・歳入庁の創設、インボイス方式への移行
⑤ 公務員制度改革・・・内閣人事局の創設など政治主導スタイルの確立
⑥ 公務員給与・人員削減・・・2割削減の断行。国会議員も率先改革
⑦ 地方分権への移行・・・東北復興庁の創設など

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