2013年10月25日金曜日

【書評】2052 ~今後40年のグローバル予測(ヨルゲン・ランダース)

【評価:】(興味関心があれば読むことをおススメ)

本書は、『成長の限界』(ローマ・クラブ)の共著者が2052年の世界を予測し、パラダイムを変換する必要を述べるもの。広義の環境問題が半世紀後はより深刻化し、政府の役割がより重要にならざるを得ない、という指摘は仕事の上でも頭の片隅に置いておくべきと感じました。ちなみに、ページ数の割に中身は重畳的です。

(主なポイント)
●世界の総人口は2040年直後に81億人でピークとなり、その後減少(都市化が進み、出生率が急激に低下するため)。
●世界全体のGDPは成長が遅くなるが、2050年に現在の2.2倍に達する(人口増加率が鈍り、労働生産性が減少するため)。
●生産性向上のスピードは鈍化(経済の成熟、格差等による社会紛争、異常気象のダメージのため)。先進国では、省エネ・再生可能エネルギーと介護ビジネスしか伸びしろはない。
●消費の成長率も鈍化し、2045年にピークとなる(資源枯渇、環境汚染、気候変動、生態系の損失、不平等といった問題を事前に予防又は事後的に修復するため、GDPの大部分(現在の1.5倍、GDPの36%)を投資に回さざるを得ないため)。
●今後数十年で社会投資が増え、資源と気候の問題は2050年に壊滅的なレベルには達しない。しかし、21世紀前半に集中的な対応策を強制的に進めておかない限り、21世紀後半に気候変動は歯止めが利かなくなり、人類は大いに苦しむことになる。
●予想外の敗者となるのは現在の経済大国、なかでも米国(次世代で1人当たりの消費が停滞)。勝者となるのは中国。インド、ブラジル等の新興国は発展する。残りの地域は貧しさから抜け出せない。

➔ 今後は、国家(政府)の役割が極めて重要になる。化石燃料に課税(100ドル/t-CO2)をするなどの増税によって、消費財・サービスの需要を縮小させ、資源配分を変えていく必要。
➔ 20のアドバイス(希望を失わず、来るべき危機と折り合いをつけて生きる術
①収入より満足に目を向ける、
⑦気候変動の影響の少ない場所に住む
⑧決定を下すことのできる国(数十年先を見越した行動ができる国、民主主義と自由市場だけに頼っていない国))に引っ越す
⑩サービス業や介護の仕事が嫌なら、省エネ関連か再生可能エネルギーの分野で働く
⑪子どもたちに英語に加えて、中国語を習わせる(職を得る上で優位な立場に立てる)
⑫成長は良いことだという考えから脱却する
⑰ビジネスで、高い成長性と高い利益率を混同しないこと


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