2012年7月17日火曜日

【書評】Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学(ケン・シーガル)


Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学は、PR会社で働く筆者が、ビジネスパートナーの故スティーブジョブスをクライアントに、アップルのイメージ戦略やiMac、iPod、iPhoneなどの広報戦略を担当してきた経緯から、スティーブの「シンプル」に対するこだわりとビジネスにおける成功を当時の具体例と共に披露する、というスタイルのものです。ジョブスブームに乗ったきらいは否めませんが、内容は基本的に理解できるものでした。


<シンプルさの10のコア要素>


①容赦なく伝える・・・良い内容でも悪い内容でも、残酷なまでに正直に。貴重な時間とエネルギーを節約できる。


②少人数で取り組む・・・新たにプロジェクトチームを作るときは、有能な少人数のグループを形成すること。よりよい結果と高い効率性、士気の向上をもたらす。最終的な意思決定者がちゃんとした形で参加することも重要。


③ミニマルに徹する・・・二つ以上のことを人に伝えようとすると、注意が分散するため、共通項でひとくくりにして、それを強く主張すること。選択肢は絞れば絞るほど、魅力的になる。


④動かし続ける・・・プロジェクトは、少し時間が足りないぐらいが理想的なスケジュール。ある程度のプレッシャーが物事を前進させるし、余裕がありすぎるスケジュールは、多くの意見を求めることになり、自分のアイデアが少しずつ削られて死んでいく。


⑤イメージを利用する・・・あなたの会社やアイデア、製品を象徴するイメージ(概念的・印象的)を使うことで、その具体化(判別しやすくなり、効果的に情報を伝えること)が可能。シンプルで力強い優れたイメージを見つけることが重要。


⑥フレーズを決める・・・堅苦しくなく自然なもので、アイデアを完璧な明快さでシンプルに表現すること。言葉は強力であり、簡潔さと率直さが重要。


⑦カジュアルに話しあう・・・社内や顧客との打ち合わせは、型どおりの会議や形式張ったプレゼンを避け、カジュアルで率直なものにすること。創造的ですばらしいアイデアが多く生まれる。


⑧人間を中心にする・・・数字やスプレッドシートの向こうを見る大胆さを持ち、自分の心に忠実であること。数字に頼るのは大企業病であり、無形のものもしばしば重要な現実の指標である。


⑨不可能を疑う・・・他人に反対されたからといって、妥協してはいけない。自分のアイデアを押し通そう。他人は最初に否定的な反応をするものだと予想しておくこと。自分の独立性と客観性に誇りを持ち、全体の状況の中での事実と意見を評価すること。


⑩戦いを挑む・・・非常時には先手必勝、すべての武器を使って、最大限の努力をすることが必要。フェアな戦いをする必要はない。自分の有利な立場を利用することも厭わない。

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